研究・開発、取組み技術

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スライド式橋梁衝突緩衝装置
(共同開発) 1

スライド式桁衝突緩衝装置と
その変位吸収部の実物大部分模型静的破砕実験

レベル2地震の揺れに対応した橋梁伸縮継手は非常に大型で高額なものになる。弊社は、レベル1地震の揺れに対応した伸縮継手を用いておき、それ以上の地震に対しては、橋体の衝突によって、これを取り付けた床版の一部もしくはスライド版がスライドして、損傷を簡易なものにとどめて、大地震対応の伸縮継手のコストを大幅に縮減する装置を開発した。
この装置の変位 吸収部の静的破砕実験を行って機能の検証を行った。

Key Words:免震設計、伸縮継手、大変位 吸収システム、コスト縮減、桁衝突

1. はじめに

兵庫県南部地震以来、ゴム沓や免震沓を使用した分散固定方式の橋梁が主流になっているが、耐震性能が向上した反面 、地震時の揺れによる水平変位が大きく出るようになった。
大地震時(保耐法設計レベル)の揺れはごく一般 的な橋梁でも200mm程度から、場合によっては500mm以上というケースもある。
このような変位に伸縮継ぎ手を対応させようとすれば、非常に高額で大型になるため、免震設計が敬遠されたり、分散設計でも、中地震(震度法設計レベル)の変位 までの対応に留めてしまうことが多い。

しかし、これでは、伸縮継手が「壊れてくれる」としても床版などの橋体や橋台のパラペットが衝突し、その破損や弾き飛ばされての落橋といった事態が考えられる。
また、破壊されるパラペットに落橋防止装置をつける設計まで行うことになる。

そこで、これらの問題を解決する手段として、スライド式橋梁衝突緩衝システムを考案し、実用化のために、破砕実験を行った結果 これらを報告するものである。

表-1 伸縮遊間と伸縮継手概概算工事費

※種類やメーカー
その他条件によって異なる。

2. 装置の概要

これは、橋梁寿命の間に数回は経験するかもしれない中地震(レベル1=震度法設計レベル)の変位にまで伸縮継手を対応させておき、遭遇する事があるかどうかという大地震(レベル2=保耐法設計レベル)時には、軽微でかつ復旧が容易なように損傷を特定の個所に分散し、落橋や橋梁本体への致命的な損傷を避けようというものである。

この装置のための通常のメンテナンスを不要もしくは簡便にすることを狙ったものである。
この装置は、伸縮継手を取付けたスライド版もしくは床版スライド部が、伸縮継手が閉じきる前にジョイントプロテクターを介した橋体の衝突により弾かれててスライドし、後方で変位を吸収する構造である。
いわゆるノックオフ構造の一種である。

橋台部用
図-1 橋台部用
橋脚部用(鋼橋)
図-2 橋脚部用(鋼橋)
(1) 橋台部用(図-1)

パラペットから踏掛版上に厚さ約50cm、長さ3m程度のコンクリート製の版を設け、これに伸縮継手を取り付けるものである。
図-1の例では、伸縮継手下部に顎部を設け、これをジョイントプロテクターとしている。
桁遊間は、レベル2の揺れによる変位 を満足する遊間とし、伸縮継手はレベル1を満足させる。
ジョイントプロテクター遊間は伸縮継手遊間より少し狭くしかつ緩衝ゴムを貼り付けておく。

図-3 橋脚部用(コンクリート橋)  図-4 変位吸収破砕部(実験モデル2-1 橋脚用 L=1000)

厚さは、伸縮継手を取り付けられる厚さ(鋼フィンガーで30~35cm程度)とし、ジョイントプロテクターとなり、かつ伸縮継手を施工しやすく顎部を作るために50cm程度を確保したものである。
伸縮継手の種類やジョイントプロテクター形状によってはもっと薄くても良い。

長さは、伸縮継手に輪荷重が載ったときにもばたつかず安定している重量を確保するように決められており、一般的には、2.5mから3.0mあれば十分である。

設置幅は、通常地覆部を含めない幅である。斜橋などで移動方向が横にずれる恐れのある場合は、地覆まで含めることになる。

後方部形状はノーズ型とし路盤の砕石部にめり込みやすい構造としている。

パラペット及び踏掛板とスライド版の境界は、硬質のゴム材や目地材、シート類等によって付着力を切っておく必要がある。しかし交通 荷重等によって動かないように少量のアンカー鉄筋を配置しておく。

沈下が激しい場所では、ジャッキアップしてモルタル注入等を行って勾配を調整できるように、ジャッキ設置用の箱抜きを設けておくとよい。

(2) 橋脚部用(図-2)
1) 鋼橋でRCまたはPC床版の場合

床版の端部3mほどがスライドする方式となる。
この後方に部分的な鋼床版構造等により支持された変位 を吸収するコンクリートブロックと粒調砕石よりなる(図-4)破砕部分を設けるものである。
コンクリートブロックは、水平方向の変形を鉛直上方向に誘導して破砕しやすくするものである。
図-2、4の例は、変形量 30~40cm以下を対象とした構造である。
それ以上の変形を吸収する場合は、全長を延ばし中央のブロックを省略する等の処置が考えられる。

鋼桁と床版スライド部は、非合成の場合に用いられる程度のスラブアンカー鉄筋やスタッドジベルを用いてずれ止めとする。ただし、コンクリートの桁への付着を切る必要があるため、シート類を敷くことや付着しにくい塗装を行う必要がある。

また床版スライド部に主桁上フランジを挟むガイド金具を設置しておけば、横ずれやずれ止めアンカー破断後の床版落下といった事態を防ぐことができる。

ジョイントプロテクターは、図-2のように伸縮継手に取り付けたり、伸縮継手構造の簡単な地覆部や、歩道部を代用することができる。

厚さは、ハンチを含めた床版厚であり、長さは橋台部と同様に交通荷重に対して安定するように決めることとなる。

2) コンクリート橋の場合(図-3)

コンクリート橋の場合は、スライド部及び変位吸収部を桁の切り下げにより対処する。PC鋼材の定着工の関係からある程度桁高のある構造に対してのみ適用できることとなる。鋼床版橋の場合も桁の切り下げにより対処する。

橋脚部用(コンクリート橋)
図-3 橋脚部用(コンクリート橋)
変位吸収破砕部
図-4 変位吸収破砕部
(実験モデル2-1 橋脚用 L=1000)
実設計橋をモデルとした橋梁諸元と設計値
表-2 実設計橋をモデルとした橋梁諸元と設計値
(3) 被災後の処置
両者共に、伸縮継手自体は、フィンガータイプを用いておけば開く方向は自由であり、止水材の破損程度で済むことになる。被災後は、飛び出た舗装体を取り除き、伸縮継手部は鉄板をかぶせておく程度で仮復旧できる。
本復旧は、ジャッキにより元に戻し、破砕部の路盤と舗装を修復し床版固定工を行うことになる。
床版及びスライド版固定工は、削孔してスタッド溶接または、鉄筋アンカーを行いモルタル充填を行う。
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